点群データ
2024.09.19

Matterportで点群データを取得・編集する方法と費用を解説

点群データ取得デバイスについてプロに相談してみませんか。

私たちファクトリー・イノベーションは、3次元測定器業界での長年のソリューションセールス経験と知識を活かし、お客様の用途に応じた適切な点群データ取得のためのデバイス選定から、導入後のサポートまで、トータルでサポートいたします。

目次

Matterportとは?点群データ取得の新たなアプローチ

Matterportの基本機能と技術的特徴

Matterportは、3Dスキャン技術を使って物理空間をデジタルデータに変換し、さまざまな業界での利用が広がっています。特にMatterportは、室内空間のスキャンや建築現場のデジタルツインの作成に優れており、建築業、不動産業、プラントエンジニアリングなどの業界で重宝されています。

Matterportの技術は、単に空間の写真を撮影するのではなく、空間を3Dでキャプチャし、詳細な情報を取得する点で大きな特徴があります。カメラで撮影されたデータを自動的にクラウドにアップロードし、そこから3Dモデルや点群データとして処理されます。特に、MatterportのProシリーズは、広範囲のスキャンができ、商業施設や建設現場などの大規模な空間にも対応できる強力なツールです。(詳しくは「Matterportとは?」の記事をご覧ください)

点群データとは?基礎知識と用途

点群データとは、物体や空間の形状を3次元的に表現するために用いられるデータ形式で、無数の点の集合で構成されます。このデータは、特に精密な寸法測定や設計に必要な正確なモデル作成に利用されます。Matterportは、単なる3Dモデルの作成だけでなく、点群データを取得することで、より精密な測量や設計が可能となります。

点群データは、建築・設計分野では現場の測定や設計、再建、改修などに使われるほか、プラントエンジニアリングでは設備管理や保全計画に使用されます。さらに、不動産業では、販売物件の正確な寸法を提供することで、遠隔地の顧客に対しても正確な情報を提供できるメリットがあります。

Matterportで点群データを取得するための必要な機材

使用可能なカメラとスキャナーの種類

Matterportは、複数のカメラやデバイスに対応しており、用途に応じて選ぶことができます。代表的なカメラとして、Matterport Pro3とPro2があります。Pro2は主に室内空間に適しており、高解像度の画像と3Dデータを取得できます。一方、Pro3は屋外や広い空間のスキャンに対応しており、より長距離のスキャンが可能です。

また、スマートフォンを使ったスキャンも可能で、Matterport Axisを使用することで、スマホの撮影品質を向上させることができます。これにより、より手軽に3Dスキャンができ、小規模な空間や個人利用にも適しています。、またリコーシータやInsta360などの360度カメラを使用することもできます。

Matterportに対応しているカメラの一覧と比較はこちらのページからご確認いただけます。

各デバイスの特徴と選び方

Matterport Pro2は、詳細な室内スキャンに向いており、特に不動産や商業施設の管理、内覧用のデジタルツイン作成に適しています。解像度が高く、色彩表現も優れているため、視覚的な魅力が求められる場面で効果を発揮します。

一方、Matterport Pro3は、より広範囲のスキャンが必要な建設現場や大規模な施設のスキャンに最適です。Pro2よりも遠距離のスキャンが可能で、屋外や複雑な構造物にも対応できるため、プラントエンジニアリングや建築プロジェクトで活用されています。

Pro3とPro2の詳しい比較はこちらの記事よりご確認ください。

Matterportを使った点群データ取得の具体的な手順

Matterport Capture Appを使ったスキャンの流れ

Matterportで点群データを取得するための最初のステップは現地の撮影から始まります。
撮影は、Matterport Capture Appを使って簡単に行うことができます。まず、Matterport対応のカメラ(Pro2やPro3など)をセットアップし、アプリと接続します。次に、スキャンしたい空間を選び、撮影を開始します。カメラが自動で回転し、360度の画像をキャプチャしながら、空間の深度情報も取得します。

撮影が完了したら、データはアプリを通じてMatterport Cloudにアップロードされ、クラウド上で3Dモデルが自動生成されます。この自動生成のプロセスにより、ユーザーは複雑な編集作業をほぼ必要とせずに、短時間で3Dデータを取得できます。

効果的なスキャン方法と注意点

スキャンする際には、空間内の障害物や光の反射に注意する必要があります。特に、ガラスや鏡などの反射する物体は、データの正確性に影響を与える可能性があるため、これらを避けるか、位置を調整する必要があります。また、スキャンする場所に十分な光量があることも重要です。暗い場所ではデータの取得が不正確になる可能性があるため、必要に応じて照明を調整してください。

Matterport撮影のコツはこちらのページからご確認いただけます。

Matterportデータの編集方法:専用ソフトとワークフロー

Matterport Cloudでの編集と共有方法

スキャンデータがクラウドにアップロードされた後、Matterport Cloudを使ってデータの編集が可能です。ユーザーは、不要な部分を削除したり、ポイントを追加したりすることで、スキャンデータを最適化できます。さらに、Matterport Cloudでは、データの共有が簡単に行えます。リンクを生成して顧客やチームメンバーに共有することで、リアルタイムでモデルを確認しながら進行中のプロジェクトを管理できます。

点群データのダウンロード

スキャンデータのアップロードが完了すると点群データのダウンロードが行えるようになります。

「アドオン」タブから「Matterpak」または「E57ファイル」を選択してください。

Matterpak - XYZのアスキー形式の点群データです。点群データ以外にOBJファイルと平面図・天伏図もセットでダウンロードされます。

E57ファイル - 長距離スキャナーの点群データの業界標準フォーマットです。XYZ座標以外にパノラマ写真や格子情報が含まれており、アスキー形式より用途が多岐に渡ります。

Matterportデータの活用事例:どの業界で役立つのか?

建設・不動産業界での活用事例

建設業界では、Matterportが工事現場の進捗管理や設計図面との比較に役立っています。現場の状況を3Dでキャプチャすることで、リモートからでもプロジェクトの進行状況を確認でき、関係者全員が同じ情報を共有することが可能です。また、不動産業界では、物件の3D内覧が顧客に提供され、遠隔地の購入希望者にもリアルな体験を提供できるため、販売活動が効率化されます。

製造業やプラントエンジニアリングでの活用例

製造業やプラントエンジニアリングでは、既存の設備のデジタルツインを作成し、保守管理や改修計画に活用されています。正確な点群データを用いることで、実際の設備の状態をデジタル空間上で確認でき、遠隔からの監視やシミュレーションも可能です。特に複雑な機器や広範囲の施設を扱う場合、Matterportは効率的な管理をサポートします。

Matterportで点群データを取得・編集するための費用

導入コストの内訳:機材費・ソフトウェア利用料金・アドオン費用

機材費 - 撮影するためのカメラを購入する費用

ソフトウェア利用料金 - Matterportソフトウェアはクラウド形式のサブスクリプションです。

アドオン費用 - 点群データをダウンロードするにはサブスクリプション以外に都度料金が発生します。ひとつのプロジェクトから点群をダウンロードする費用は約5,000円~15,000円程度です。

他の点群データ取得方法との比較:Matterportのメリットとデメリット

精度・コスト・使いやすさで見る他の3Dスキャナーとの違い

Matterportは、他の従来型の3Dスキャナーと比較して使いやすさが非常に高いのが特徴です。特に、専門知識がなくても直感的に操作できるため、導入後すぐに活用できる点が大きな利点です。一方で、非常に高精度なスキャンが求められる場合や、屋外の複雑な環境での使用には、レーザースキャナーの方が適している場合もあります。

Matterportの長所と短所

Matterportの長所は、コストパフォーマンスと操作の簡便さです。特に、クラウドベースの処理によって、データの編集や共有が簡単であり、時間や手間を大幅に削減できます。しかし、欠点としては、非常に高精度なスキャンや厳しい環境でのスキャンには制約がある点です。例えば、非常に細かいディテールが必要なプロジェクトでは、他の専用スキャナーの方が有利です。

Matterportを活用して点群データを取得する際の注意点とコツ

成功するプロジェクトのためのポイント

Matterportで取得される点群データはFARO/Trimbleなどの寸法精度±1~2mmを誇る高性能3Dスキャナーに比べると寸法精度が劣ります。そのため用途を絞ってMatterportの点群データを活用しましょう。具体的には下記のような使い道が想定されます。

建設工事の現地調査・工事計画の初期段階 - 工事予定現場の周辺のビルや高速道路、構造物をMatterportでスキャンして得られた点群データ上に重機や建設予定のビルの3D CADを配置して工事計画や、合意形成のために使用することはMatterport点群の使途に向いています。

詳細度の低いBIMモデルの作成 - LOD200程度のBIMモデルであればMatterportのE57ファイルでも十分作成可能です。

まとめ

Matterportを活用した点群データの取得と編集は、これまで専門技術が必要とされていた3Dスキャンを、より手軽かつ迅速に行える画期的な方法です。MatterportのProシリーズカメラやスマートフォンを使用した簡便なスキャン機能により、室内空間や建設現場、商業施設、不動産物件のデジタルツインを容易に作成できます。さらに、Matterport Cloudを利用したデータ編集や共有機能を活用することで、プロジェクトの進行管理やチーム間での情報共有が効率化され、時間やコストの削減が可能です。

特に、建設業や不動産業、製造業、プラントエンジニアリングなどの業界では、Matterportを導入することで現場の状況把握が容易になり、プロジェクトの進行管理や保守業務が効率的に行えるようになります。また、点群データの取得や編集に必要な費用は、他の高度な3Dスキャナーと比べてコストパフォーマンスに優れている点も大きな魅力です。

ただし、Matterportはその操作の手軽さゆえに、非常に高精度なスキャンや、過酷な環境での使用には限界があることも理解しておく必要があります。用途やプロジェクトの要件に合わせて、適切な機材とスキャン戦略を選択することが重要です。

総じて、Matterportはデジタルツインの作成や空間の3D化において強力なツールであり、多様な業界での利用が期待されています。特に、3Dデータを活用して業務の効率化を図りたい企業やプロジェクトチームにとって、Matterportは非常に価値ある投資となるでしょう。

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  • 記事を書いた人
    皆川要

    外資系3次元測定器メーカーFAROにて法人営業を担当後、3Dソリューション営業の経験と知識を活かし、ファクトリー・イノベーション株式会社を設立。建設業・製造業・不動産などのDXを具体的な形で提案しています。

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