Matterport
2024.08.24

Matterport(マーターポート)とは|機能や活用シーン、導入方法を解説

目次

Matterport(マーターポート)とは|機能や活用シーン、導入方法を解説

2024.06.16

このページではMatterport(マーターポート)をこれから導入する方や、
もっと使いこなしたい方にMatterportの仕組みや何ができるのか?導入までの流れを解説します。

私たちファクトリー・イノベーションはMatterportの正規リセラーです。
日本国内におけるMatterport製品の販売・導入のサポートを行っています。

Matterport(マーターポート)とは

Matterportは一言でいうと「その場にいる感覚」の3Dスペースを作成するクラウド型のデジタルツイン作成サービスです。

誰が使っているの?

Matterportは主に不動産、建築、観光業界、商業施設、製造業などで利用され現実の空間を3Dモデルとして正確に再現します。

Matterportを利用するとユーザーは実際にその場を訪れなくても「まるでその場にいる」ようなバーチャル空間を体験できます。

どうやって使うの?

Matterportの3Dモデルを作成するには360度カメラやスマートフォン、そして専用のカメラを使って空間をスキャンしクラウドに撮影データをアップロードするだけです。撮影地点同士の結合はクラウド上で自動的に行われます。

データ処理が完了するとブラウザだけで共有や編集が可能になり、遠隔地の不動産案内や建設現場の調査、魅力的な店舗や観光地の紹介に活用が可能です。

Matterportの提供元会社について

Matterport社の概要

Matterportはアメリカのカリフォルニア州サニーベールに本社を置く「Matterport Inc.」社によって運営されています。2011年に設立され2021年7月にはナスダック(NASDAQ)市場へ上場を果たしています(NASDAQ:MTTR)。

現在、アメリカ(サンフランシスコ、シカゴ、カンザス)以外にもロンドン、シンガポール、東京に現地法人があり、販売とサポートをお客様に提供できるようにしています。日本では2024年4月にマーターポート株式会社が設立されています。

私たちファクトリー・イノベーション株式会社はMatterportの正規リセラーとして日本国内のお客様へMatterport製品の導入支援、カメラ・クラウドの販売、サポートを行っています。

Matterport社の沿革

・2014年3月13日に最初のカメラ「Pro 3D」を発表 (出典:Matterport breathes life into fully immersive 3D models

・2014年6月に不動産技術コンテストであるRealogyのFWDイノベーションサミットで他の14社の不動産スタートアップと競い優勝しています。(出典:Matterport Raises $16 Million in Series B Financing to Lead 3D Expansion

・2017年5月31日に「Matterport Pro2 3D」カメラを発表しました。高品質の4K写真に加えてスキャン機能が搭載されました。(出典:Matterport Introduces 134 Megapixel All-In-One Camera, Adding New High-Resolution 2D Photos for Print and Digital to Market-Leading 3D Camera

・2018年1月10日 Googleストリートビューへの公開機能を発表(出典:Matterport News

・2021年5月10日 Matterportへアップロードされたスペース数が500万を突破(出典:Matterport News

・2021年7月23日 Matterportはナスダックへ上場します(NASDAQ : MTTR)

・2022年2月8日 スマートフォンでの高精度3Dキャプチャを実現する「Matterport Axis」を発表

・2022年8月30日 4K写真撮影に加えLiDARを搭載した「Matterport Pro3」を発表

・2023年3月14日 Autodesk Consturction Cloudとの統合機能を発表

・2023年4月18日 AWS IoT TwinMakerとの統合機能を発表(出典:Matterport News

・2024年2月15日 AIと自動化による不動産向けサービス「プロパティ インテリジェンス」を発表

Matterportの機能や実現できること

Matterportの機能を利用すると以下のことが実現できます。

① 空間を素早く・正確にキャプチャーできる

一般的なデジタルカメラを使った写真撮影は手軽ではありますが、写真の整理や空間の位置情報を把握することは難しいでしょう。メジャーをレーザー距離計を使った寸法計測には時間がかかりますし、メモを取る段階で測り間違いや計り忘れが発生することもあります。

Matteportは360度全方向を撮影しますので計り忘れがありません。専用カメラを使えば一回の撮影は20秒以下で終わります。2階建ての一軒家をくまなく撮影するのに30分もあれば終わってしまうのです。

② バーチャルツアーの作成

没入感のある美しい高画質のデジタルツインデータは不動産のオンライン内覧、ホテルや結婚式場の効果的なPR、また観光地の素晴らしさを伝える素晴らしいツールです。

通常の写真や図面だけでは伝わらないニュアンスをMatterportなら訪れる人に正確に伝えることが可能です。

③ 測定と注記

Matteportの空間内で寸法測定が可能です。「ここにお気に入りの家具は入るかな?」「新しい設備の搬入経路に障害物はないだろうか?」などがPC・タブレット・スマートフォン上で正確に採寸できるのです(※筆者注:撮影するカメラによって寸法精度は異なります。詳しくはこちらのリンク(対応カメラ一覧)をご確認下さい)

④ 遠隔地のユーザーとコラボレーション

不動産のバーチャル内覧、学校見学、ホテルや結婚式場の下見など、通常では時間をかけて訪問しなければならない場所へ24時間365日、移動時間を気にせず訪問できるようになります。

一人で訪問するなら時間の都合はつけやすいですが、「両親と一緒に新しいマンションを見に行く」「関係者フクス名のスケジュールを調整して建設現場の下見をする」など複数人の都合を合わせて現地に訪問するのは意外と難しいものです。

Matterportを使って3D空間を共有すればお互いの時間を気にせずバーチャル上で現実世界と同等の空間体験が可能になります。

⑤ サードパーティ ソフトウェアとの連携・拡張

Matterportには撮影データの活用方法を広げる様々な拡張機能も用意されています。
詳しい情報はこちらのリンク(Matteportクラウド機能一覧)をご確認下さい。

⑥ 点群データ、メッシュデータ・高画質画像の書き出し

E57形式の点群データやOBJ形式のメッシュデータのエクスポートが可能です。「点群処理ソフトを使って3D CADモデルを作りたい」「Navisworksや各種建設系ソフトウェアに点群を取り込んで景観シミュレーションやプレゼンテーションに使いたい」などの専門的な要望にも応える事が可能です。

CGやゲーム系のユーザーにとってゼロから作成するのが大変な建築物のモデリングにもメッシュデータやパノラマ画像をエクスポートしてテクスチャの作成に活用していただけるでしょう。

⑦ AIによる物件レポートの作成

MatterportのAI「Coretex AI」がアップロードされた撮影データから自動的に部屋の名前、間取り図、面積・寸法を作成してくれます。さらに、間取り図は編集画面上で壁やドアの位置を自由に変更することができるので、住居やオフィスのレイアウト変更を追加のソフトウェアを購入することなく実現できます。

⑧ CAD図面・BIMファイル作成サービス

2D図面やBIMファイルを作成する作業は労働集約的な作業で人件費がかかる業務です。Matteportはこれらの作業を請け負うオプションが用意されています。DXF/DWG形式の2D CAD図面やLOD200レベルのBIMファイルの作成を面積と詳細度に応じた料金でMatterportへ依頼することが可能です。

Matterportの導入方法

Matterportの利用を開始するために必要なものは以下のとおりです。

① カメラ

Matterportは360度カメラ、スマートフォン、専用カメラなど複数の機材に対応しています。撮影の目的、空間の広さ、要求される寸法精度に応じて適切なカメラを選択しましょう。

対応しているカメラの一覧はこちらのリンクからご確認いただけます。

私たちファクトリー・イノベーションはMatterportの正規リセラーとしてお客様の適切なカメラ選択のお手伝いをさせていただきます。

② スマートフォン・タブレット

カメラの撮影スタートとデータの結合はスマートフォン・タブレットから行います。空間が広い場合は撮影ポイント(スキャンポイント)の数が増えるので処理に負荷がかかるのでスペックの高い端末を準備することをおすすめします。

対応している端末の最新情報はメーカーサイトからご確認いただけます。

iOSの対応状況
アンドロイドの対応状況

③ 撮影アプリ

Matterportの撮影アプリは無料です。App Store/Google Playからダウンロード可能です。

④ クラウド契約

Matterportを利用するには、クラウドのサブスクリプション契約が必要です。
ユーザーは3Dスペースのデータをクラウド上に保存し、管理することができます。契約プランによって、保存できるスペースの量や利用可能な機能が異なります。

Matteportクラウドは3Dモデルを安全に保管し、どこからでもアクセス可能にするためにAmazon AWS上で運営されSOC Type2の厳しい監査条件をクリアしています。Matterportクラウドプランの詳しい説明はこちらのリンクからご確認いただけます。

プランの選択に悩んだらお気軽にご相談下さい。お問い合わせページはこちらです。

Matterportが活用できるシーン(業界別)

Matterportを活用して業務の向上が期待できる業界と活用シーンについてご説明致します。

① 建設・建築分野

1.施工前の現地調査 : 時間のかかる現地採寸作業の手間を削減します。計り忘れ測り間違いによる手戻り工数を防止します。

2.施工管理 : 施工中に起こる修正指示や現場管理をチャット機能やタグ機能を使って、コミュニケーションの齟齬を無くします。現場監督は作業指示のやり取りの手間を省くことができ、リモートによる管理も可能になります。

3.竣工後の保全 : 竣工写真をMatterportで撮影しておけば竣工後の維持管理が用意になります。「図面の集約」「壁や天井を閉じる前の状態の確認」「将来の改修工事の計画」など施主との関係維持にも効果を発揮します。

Matterportの建設・建築業界での詳しい活用方法はこちらのリンクからご確認ください。

② 不動産

1.リモートによる物件案内 :Matterportの高精度な3Dモデルはで遠隔地の見込み客に対して効果的に物件を紹介できます。物理的な移動の必要がなく、時間とコストを節約しながらも広範囲の顧客にアプローチすることが可能になります。顧客は自宅にいながらにして、様々な物件を詳細に見ることができ、購入や賃貸の意思決定を迅速に行えます。

2.高いマーケティングと成約効果 : Matterportの3Dモデルは、従来の写真やビデオよりもはるかに没入感があり、質の高い顧客体験を提供できます。これにより、物件に対する潜在顧客の興味を引きつけ、問い合わせ件数を高めることができます。また、3DモデルはSNSや物件リストサイトで簡単に共有でき、より魅力的なコンテンツとしてマーケティングの質を向上させます。

3.物件情報提供の時間とコストの削減 : Matterportを使用すると、間取り図を自動的に作成してくれるので多数の物件を取り扱う不動産業者は図面作成・写真撮影など営業・マーケティング資料作成の時間と費用を大幅に削減できます。物件の各部屋の寸法や配置を正確に捉えることができ、これが物件の特徴や魅力を正確に伝えるのに役立ちます。また、3Dモデル内での測定機能を利用して、家具の配置やリノベーションの計画を事前に行うことができます。

Matterportの不動産での詳しい活用方法はこちらのリンクからご確認ください。

③ 商業施設

1.オンラインでの店内体験提供: Matterportは店舗のデジタルツインをかんたんに作成し、顧客が自宅からバーチャルで店内を歩き回り、商品を見る体験を提供します。これは、遠方に住む顧客や忙しくて店舗を訪れる時間がない顧客にとって特に魅力的です。バーチャルツアーは、顧客が店舗の雰囲気やレイアウトを事前に知ることができ、実際に訪れる際の購買意欲を高める効果があります。

2.24時間営業のバーチャル店舗: 3Dモデルを活用することで、物理的な営業時間に関わらず、いつでもオンラインで店舗を公開することができます。顧客は自分の都合の良い時間にショッピング体験を楽しむことが可能になり、これにより訪問者の増加や売上の向上が期待できます。

3.施設管理とプレゼンテーションの向上: Matterportは施設の詳細な3Dマッピングを提供するため、店舗デザインや商品の配置の計画、改善に役立ちます。また、新しい店舗のデザインやリモデリングのプロジェクトを関係者や投資家に対して効果的にプレゼンテーションする際にも有効です。3Dモデルを利用することで、物理的な制約なく様々なデザイン案を試すことができ、より良い意思決定を支援します。

Matterportの商業施設での詳しい活用方法はこちらのリンクからご確認ください。

④ 製造業

1.施設管理とプランニングの最適化: Matterportは製造施設の正確な3Dマッピングを提供するため、工場のレイアウトやプロセスの効率化に役立ちます。3Dモデルを使用して、機械の配置、生産ラインの設計、安全通路の確保などを事前にシミュレートし、最適な設計を行うことができます。これにより、生産効率の向上やコスト削減につながります。

2.リモートモニタリングとトレーニング: Matterportの現実世界に近い視覚コンテンツは、工場のリモートモニタリングを可能にし、管理者がどこにいても施設の状況を確認できます。また、新しい従業員や現場で働くスタッフへのトレーニングにも活用でき、実際の作業環境を模したバーチャルツアーを通じて、より効果的かつ安全なトレーニングを提供することができます。

3.保守・メンテナンスの効率化: Matterportを使用して製造設備や機器の図面やメンテナンス情報を一元集約化することで、保守・メンテナンス作業がより効率的になります。3Dモデル上での問題点の特定や、必要な部品の正確な位置情報を提供することで、メンテナンススタッフが迅速に対応し、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。

Matterportの製造業での詳しい活用方法はこちらのリンクからご確認ください。

まとめ

Matterportの技術は、その高精度な3Dモデルと質の高い顧客体験を通じて、様々な業界で革新的な変革をもたらしています。不動産から製造業、小売まで、どの業界においても、Matterportはビジネスの効率を向上させ、コストを削減し、顧客エンゲージメントを高めることが可能です。

私たちファクトリー・イノベーションは、Matterport正規リセラーとして、お客様のビジネスニーズに合わせた最適なMatterport製品の提供を通じて、皆様のビジネス展開を全力でサポートいたします。Matterportで未来のビジネスを形作る一歩を踏み出しませんか?


  • 記事を書いた人
    皆川要

    外資系3次元測定器メーカーFAROにて法人営業を担当後、3Dソリューション営業の経験と知識を活かし、ファクトリー・イノベーション株式会社を設立。建設業・製造業・不動産などのDXを具体的な形で提案しています。

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