Matterport
2024.08.29

Matterportに対応したカメラの寸法精度比較

Matterportの導入を、プロに相談してみませんか?

私たちファクトリー・イノベーションは、3次元測定器業界での長年のソリューションセールス経験と知識を活かし、お客様の用途に応じた適切なカメラの選定から、導入後のサポートまで、トータルでサポートいたします。

目次

Matterportで使えるカメラと寸法精度

Matterportの魅力の一つに「目的に応じてカメラを使い分けられる」ことが挙げられます。

立場によってMatterportを利用する目的は様々ですが、このページでは寸法精度が必要とされる方向けにMatterportでどのカメラを利用すべきかをご説明しています。

Matterport Pro3

Matterport社が開発・販売している専用機です。超高解像度のパノラマ写真と半径100mまで計測できるLiDARを搭載した地上型3Dレーザースキャナーです。
Matterport Pro3の寸法精度は10m先で+/-20mmです。

屋外・屋内を問わず計測が可能で一箇所の撮影にかかる時間は17秒と他社の地上型3Dレーザースキャナーに比べて高速です。




Matterport Pro2

こちらもMatterport社が開発・販売している専用機です。Pro3同様、超高解像度のパノラマ写真が撮影可能です。寸法測定には赤外線センサーを使用しており、寸法精度は実測値に対して1%です(10mであれば10cm)。

赤外線センターを使用しているため直射日光下での撮影ができません。ですので屋内の撮影に特化しています。Pro3と比較して価格がリーズナブルであるためPro3と組み合わせて複数の現場に同時対応することも可能です。






市販の360度カメラ

RICOH THETAやInsta360の各種カメラに対応しています。
これらのカメラは寸法測定のためのセンサーを搭載していないのでパノラマ写真から推測された寸法情報を利用することになります。寸法精度は概ね±5~10cm程度です。







iPhone/Androidなどの携帯端末

Matterport Axisを使うとiPhone・Androidなどのスマートフォンを撮影デバイスとして利用可能です。
寸法精度は360度カメラと同じ±5~10cm程度です。













寸法測定の実験結果

同じ部屋を各カメラで撮影し寸法精度を比較しました。

結果は下記の通りとなりました。基準値は市販のレーザー距離計の計測値です。


測定値誤差
基準値(レーザー距離計)2970mm
Matterport Pro32980mm-10mm
Matterport Pro22990mm-20mm
リコーシータ3100mm-130mm
iPhone+Matterport Axis2850mm+120mm
Leica BLK360(G1)2980mm-10mm

レーザーを使用しているBLK360とPro3は良好な結果です。Pro2も予め畳数がわかっている不動産物件を撮影して内覧用に使用するのであれば問題ない精度です。

iPhone、リコーシータについては写真画像だけを使ってデータ同士を結合するので、撮影間隔を広く取ることができません。従って計測業務の補助的な使い方、または用途に限って使用することで効果的なデジタルツインの活用が可能です。

例えばクライアントの打ち合わせの際、そのまま現地を計測することになった場合、カバンの中からiPhone・360度カメラを取り出して撮影すれば、工事案件の初動を早めることが可能でしょう。

また、ワンルームマンションなど狭い部屋の撮影にもiPhone/360度カメラは有効です。
ただし同じマンションでも販売価格の高い分譲マンションなどはブランドイメージを損なわない高画質なパノラマ写真が撮影できるPro2以上の機材を使用しましょう。

非接触測定の寸法精度について考える

測定対象物に触れずに計測することを「非接触計測」と呼びます。レーザー測定や写真から寸法を導き出す手法は「非接触計測」です。設計業務を行う方に取っては寸法精度は現地調査の重要な要素です。従って建築・建設分野においてはセンチ単位の測定は不十分で、寸法精度が高い測定器(高額な3Dレーザースキャナー)が必ず必要と考えている方は多いのではないでしょうか。

精度が高ければ高いほど良いのか?

工事図面は大抵ミリ表示ですが、実際に現場でミリ精度で図ることは可能なのでしょうか。
例えば市販のレーザー距離計は±3mm程度で測定ができます。しかしながらレーザー距離計を壁に当てる際、それは本当に水平に当てている自信がありますか?
また、現場の壁自体が絶対に90度直角でしょうか?
そもそも図面通りに誤差なく作られている建物はありませんから、ミリ単位で測定した場合、
測定者は読み取った数字から図面を書く際は自身の経験を通した解釈をしながら、キリのよい数字の図面を書いていきます。

申し上げたいのはミリ精度が本当に必要な場面とそうでない場面があり、目的や工事のフェーズに応じて適切な測定器を選ぶ必要があるということです。

寸法精度以外に考慮しなければいけないこと

現地測定において寸法精度以外に考慮しなければいけないことがあります。

  • 時間
    みなさんの時間は貴重です。現場計測のために出張して計測を行い、会社に戻って図面を書かなければならないのであれば、現地に滞在できる時間は限られます。寸法精度と時間のトレードオフをどこに置くかは施主がいる仕事にとっては重要な検討事項です。

  • コスト
    出張にはコストがかかります。長く滞在すればするほど出張費はかさみます。また計測を行う現場はまだ工事契約が決まっていない、確度が低い案件かもしれません。
    そのような現場に1000万円以上する精度ミリ単位の3Dレーザースキャナーを使ってしまえば工事コストに跳ね返りますし、万が一失注すれば会社にとって損金となります。

    Matterportなら業務のフェーズに応じてコストを抑えた3D計測が可能になるので、工事の初期フェーズでも訴求力の高い3Dデータを取得できます。

  • 目的
    高精度の3Dスキャナーで取得されたデータは「点群データ」として出力されることが一般的です。
    点群データの処理にはハイスペックなワークステーションPCが必要ですので、3D CADを使用しない一般社員はデータを見ることすらできません。

    Matterportから出力されるデータは点群データ以外にパノラマ写真ベースの「ウォークスルー画像」で閲覧が可能です。通常業務のPCでブラウザとインターネット環境があればだれでもデータにアクセスすることが可能です。

    計測の目的は設計以外に「関係者間でのデータ共有」や「施工記録として現場をリアルに残す」ということであれば必ずしもミリ単位の精度は必要ありません。

Matterportの導入を、プロに相談してみませんか?

私たちファクトリー・イノベーションは、3次元測定器業界での長年のソリューションセールス経験と知識を活かし、お客様の用途に応じた適切なカメラの選定から、導入後のサポートまで、トータルでサポートいたします。

  • 記事を書いた人
    皆川要

    外資系3次元測定器メーカーFAROにて法人営業を担当後、3Dソリューション営業の経験と知識を活かし、ファクトリー・イノベーション株式会社を設立。建設業・製造業・不動産などのDXを具体的な形で提案しています。

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