
RICOH THETAユーザーが直面する「もっと活用したい」課題
RICOH THETA(リコーシータ)は、ボタン一つで360度を撮影できるユニークなカメラです。建設現場や不動産内覧、店舗のプロモーションにおいて「とりあえず全体を残せる」便利さから、多くの企業に導入されています。
しかし実際の現場ではこんな声をよく耳にします。
- 建設・建築:「現場の全体写真はあるが、移動して確認できないので発注者に伝わりにくい」大量の写真の整理に追われる。
- プラントエンジニアリング:「設備全体を記録できても、寸法が測れないので図面作成や改修計画に活かせない」
- 不動産:「写真を見せるだけでは差別化にならず、来場につながりにくい」
- ホテル・レストラン:「360度写真はきれいだが、予約導線やストーリー性を持たせづらい」
つまり「撮れる」だけでは不十分で、撮影した後どう活用するかがビジネスの成果を分けるのです。
Matterportとは?THETAを進化させる「3D空間プラットフォーム」
そこで登場するのが Matterport(マーターポート) です。
Matterportは世界中の建設・不動産・ホスピタリティ業界で使われている「3D空間デジタル化プラットフォーム」です。
360度写真やLiDARスキャンデータをクラウドにアップロードすると、自動的にインタラクティブなウォークスルー空間を生成します。
RICOH THETA&Matterport連携:業界ごとの活用イメージ
- 建設業界:現場を3Dで記録し、遠隔地の関係者がPCやスマホで現場を「歩いて」確認。追加工事の指示もオンラインで完結。
- プラントエンジニアリング:配管・機器の配置を3Dで可視化。タグを付けて仕様書リンクを埋め込めば、教育資料や点検マニュアルにも転用可能。
- 不動産:写真では伝わりにくい奥行きや動線を、内覧体験として提供。来場前に「行ったつもり」になれるので成約率が向上。
- ホテル・レストラン:バーチャル見学で雰囲気を伝え、予約導線に直結。結婚式会場の案内やVIPルームの紹介にも効果的。
つまり、THETAの「静的な写真」に対して、Matterportは「体験型の3D空間」を作り出します。
RICOH THETA単体ではできなかったことが可能に!
● 写真を「体験型3Dツアー」に変換できる
→ THETA単体:静止画を個別に閲覧するだけ
→ 連携後:部屋から部屋へ歩いて移動できるインタラクティブ体験を提供。立体表示も可能
● 簡易的な寸法計測が可能になる 
→ THETA単体:サイズ感は目視のみ
→ 連携後:クラウド上で壁や床の距離を測定可能
● 2D図面や平面図を自動生成

→ THETA単体:画像ファイルのみ
→ 連携後:物件レポート機能で平面図PDF・PNG画像自動作成。オプションでCAD/BIMファイル作成機能あり
● 情報タグの埋め込み
→ THETA単体:撮影した画像に説明を載せられない
→ 連携後:ポイントにテキスト、リンク、写真、動画を埋め込み可能
● URLでの共有と閲覧管理
→ THETA単体:画像ファイルを相手に送るだけ
→ 連携後:URLリンクで即時共有、パスワード設定やアクセス制御も可能
● 高付加価値な営業・マーケティング活用
→ THETA単体:記録用・参考用にとどまる
→ 連携後:物件のバーチャル内覧、ホテルのバーチャル見学、工場の遠隔確認などに直接利用
● 遠隔地とのコラボレーション
→ THETA単体:静止画を送って「見るだけ」
→ 連携後:クラウド上で関係者が同じ3D空間を確認し、コミュニケーションの効率化が可能
RICOH THETAとMatterportの接続方法
THETAとMatterportの接続は初心者でもすぐに始められます。
※詳しい接続方法はこちらから
- Matterportアカウント作成
公式サイトからサインアップ。無料トライアルで始められます。 - スマホにMatterport Captureアプリをインストール
iOS/Android両対応。 - THETAをWi-Fiでスマホに接続
THETA本体のWi-Fiボタンを押し、スマホの設定から接続。 - アプリで撮影&アップロード
撮影したデータをそのままクラウドに送信。 - 3D空間が完成
PCで確認すれば「まるで歩ける現場」が完成しています。
これだけで「写真を撮っただけ」から「空間を共有できる」次元へ進化します。
RICOH THETAとMatterport 撮影の注意点
- THETAはLiDARを持たず「画像の特徴点」で結合します。
撮影地点の間隔を広く取りすぎると、空間同士が結合できずエラーになることがあります。
目安:1.5〜2m程度の間隔で移動しながら撮影すると安定します。 - 撮影経路を直線的にしない
長い廊下や広い空間を一方向に進むと、画像の共通点が不足し「位置合わせエラー」が発生しやすくなります。曲がり角や目印のある場所で必ず撮影し、共通の視認点を残す工夫が必要です。 - 広範囲の撮影は大変
撮影地点を細かく区切る必要があるので、屋外や大規模施設を効率的にカバーするのは難しく、撮影枚数が増える=作業時間が長くなるのがデメリットです。体育館、ホール、工場など広い場所では「結合が不安定」になりやすいため、小規模〜中規模の空間に適すると考えるのが無難です。 - 特徴の少ない空間ではエラーが出やすい
真っ白な壁や均一な天井、広い床など、特徴点が少ない場所ではマッチングが難しいです。家具や目印をあえて置く、壁際を重点的に撮影するなど、特徴を作る工夫が必要です。 - 屋外撮影には不向き
RICOH THETAをMatterport連携による撮影は屋外での撮影に弱く、特に「空」や「樹木」など形が変化する対象はマッチングが困難。屋外を含む撮影にはMatterport Pro3を推奨します。
Matterport Pro3でさらに広がる可能性
THETAとMatterportで効果を実感した企業の多くは、次のステップとして Matterport Pro3 を導入しています。
RICOH THETAは手軽さが魅力の360°カメラですが、業務やプロジェクトの規模が大きくなると「解像度」「精度」「データ活用」に限界があります。
その次のステップとして注目すべきが、Matterport Pro3 です。
Matterport Pro3の主な機能と魅力
- LiDAR搭載で高い寸法精度を実現
- 屋内外を問わず、数万㎡規模の大規模現場にも対応
- 点群データの活用やBIMソフトやCADとのデータ連携が可能
以下のデータはMatterport Pro3で撮影されたビルの屋外・屋内の広大なデータです。
Matterport Pro3は広い範囲、複数の現場を同時に管理する人にとっては大変魅力的で便利なカメラです。
まとめ
- THETA + Matterportは小規模空間の3D化に最適ですが、撮影の工夫(間隔を狭める、特徴点を確保する、明るさを保つ)が必要。
- 広範囲・屋外・精密計測が必要な場合は、Matterport Pro3の出番になります。
THETAでMatterportの便利さを体感したら、次はPro3へ! Matterport Pro3の詳しい資料が必要な方は「資料ダウンロード」またはファクトリー・イノベーションまでお気軽にお問い合わせ下さい。
-
記事を書いた人皆川要
外資系3次元測定器メーカーFAROにて法人営業を担当後、3Dソリューション営業の経験と知識を活かし、ファクトリー・イノベーション株式会社を設立。建設業・製造業・不動産などのDXを具体的な形で提案しています。